宅配との出逢い
ときはヤマト運輸のクール宅急便が大流行な時代。
組合長に掛けられた言葉は、「おまえやってみないか?」。喜びに浸りながらも、血が騒いだ。多分ここで、はじめて商売人の血が騒いだ。それまでは職人気質だった血が騒ぐことは。今回初めて、仕事にできる。今のライバル企業を淘汰できる。つまりはお金を生むことができる。これは儲かるんじゃないか?その感覚を持つまでに、そんなに時間はかからなかった。
なぜならば?下関での宅配といえば、お取り寄せが主流。
その中でも最高峰は当時から今まで続く「ふぐ」。実際にふぐを売っている会社の多くは、魚屋と料理屋。当たり前だけど、ふぐの宅配が一番忙しいのは冬。その時期に、魚屋と料理屋が忙しくないわけがない。本業が忙しい。だから宅配は副業。また当時の冷凍技術は低かった。緩慢冷凍だから。そして夏に引いたふぐ。商売人の血はさらに騒ぐ。
だからこそ、注文をいただいてからふぐを引く。なまびき。
「なまびき」にこだわれば、絶対に勝てる。なぜならば「俺には腕がある。」。